視聴率至上主義と、報道の美学のバランスは可能か?
TVは視聴率がすべてなので、一定のルールのもとで、知恵の競い合いが起こり、結果的に番組が面白くなるという、良い意味での競争のメリットがあります。しかし、やはり常に「度を超す」こともあって、いたずらに視聴者の好奇心や不安を煽って、視聴率を稼ごうとします。
今回のニュースも、その「度を超す」事例です。
以下、朝日新聞(asahi.com)からの引用です。
TBSが昼の情報番組「ピンポン!」で、トヨタ自動車の業績悪化で大幅な税収減となる愛知県田原市について「道路は穴が開いても放置」と誤った内容を伝え、市の抗議を受けて謝罪していたことが分かった。
田原市にはトヨタの工場があり、今年度に約70億円を見込んでいた法人市民税の大半を失う見通し。田原市の財政を取り上げた12日の番組で、アナウンサーが「道路は穴が開いても放置、河川ははんらんするかもしれない」「小中学校の耐震化工事ができなくなり、市内の小中学生は心配」とコメントした。
これに対し、市は「(道路や河川を含め)公共施設などの維持管理に関する予算は的確に確保する」「小中学校の校舎のうち98.4%が耐震化工事を完了済み。残る棟も設計は完了し、耐震化率は全国でもトップレベル」とTBSに文書で抗議するとともに、市のホームページで「バラエティー仕立てで放映されたことは遺憾」と反論した。
TBSは「取材に甘さがあった」と市に電話で謝罪し、どう対応するかを両者で話し合っている。
番組ディレクターの確信犯でアナウンサーにそう話をさせたのか、アナウンサーがアドリブで受けを狙ったのか。 いずれにせよ、「インパクトがあれば、何でもOK」というメンタリティーがあるからこその結果で、プロ意識が全くない、ダメダメなTBS社員です。
報道は「事実は何か?」という部分を突き詰めて、問題提起をするのが本質ですが、「事実は何か?」を突き詰めるのは難しく、また状況も複雑で、断定的な結論も言いにくいという、テレビ的には、わかりにくい番組になりかねないという構造的な問題があります。
TVで報道を行う難しさです。 わかりにくいのは視聴者的にも、詰まらないので、視聴率が上がらないという可能性もあり、どうしても、わかりやすい、エンターテイメント的な報道番組になってしまうものです。
つまり、「事実は何か?」を突き詰めるのではなく、嘘にならない範囲で、視聴者のニーズや感情に直結する番組を作る形になってしまいます。
その構造に流されてしまうのは、単なるサラリーマンで、ジャーナリズムを担っているというプロ意識があるならば、「事実は何か?」と、「視聴率を取る」という二律背反のギリギリを追求するという姿勢が必要です。
でも、こういったプロ意識は、視聴率競争がすべての世界では必要ないのかもしれません。
結局、「プロ意識なんて、そんなの関係ねぇ」と視聴率だけの亡者なのか、「大きな影響のあるTV番組であるからこそ、プロ意識はギリギリ保つ」と踏ん張るのか、仕事に対する姿勢の持ち方だと思います。
社会の中の報道という仕事の美学みたいなものだと思いますが、こういった美学をトップが持ち続けないと、現場は、やっぱり視聴率至上主義にならざるを得ないと思います。
たぶん、TBSの報道部門、編成部門、社長がダメダメなのかもしれません。この傾向が加速すると、ポピュリズム、つまり、市民の「目先の損得勘定」「不安感情」で、世論が決まってしまう流れができやすくなってしまいます。
マスコミには、ぜひ踏ん張ってもらいたいです。
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