テレビで社会問題を認識する「怖さ」
【救済は遠く 薬害肝炎 終わらない闘い】 日本テレビ NTVドキュメント 08.12.21
昨年の今頃、血液製剤によるC型肝炎感染被害者を救済する法律が、裁判での判決を超えて、政治的な判断で可決されました。 被害者の代表者がチャーミングなルックスで、語りかけも誠実と、「真面目な弱者が政府にいじめられている」という、わかりやすい構図もあって、マスコミはかなりの量の報道をしました。
普段ほとんどテレビを見ない私でも、薬害肝炎の報道は見ていて、
・会社と国は、血液製剤による感染の可能性および事実を認識しながら、隠蔽し、
・そのため、被害者が拡大した
・にも関わらず、今だに、国と製薬会社はその責任を取ろうとしない
くらいの認識で、テレビを見ていました。
そして、たまたま見たのが、日本テレビの年末のドキュメンタリー。
・感染被害者と国は和解し、救済措置が決定されたが、
・対象者は、血液製剤の投与事実が証明される(過去のカルテがある)ヒトだけ
・投与事実が証明できないヒトが山のようにいて、苦しんでいる人がいる
といった内容でした。
過去の事実認定が難しい場合、申告ベースしかありません。 しかし、その場合、どれくらいの申告者が出てくるのか想像もつかない場合が今回ならば、役所としては、そういう厳しいリクエストを、被害者の気持ちを無視して、やってしまうんだよなぁと感想を持ちました。
そこで、この薬害肝炎をネットで調べてみると、いやいや、とんでもなく複雑な内容に驚きました。テレビで見たものは、本当に、事実のわずかな部分に過ぎないということを痛感しました。
調べれば調べるほど混乱します。 どの辺が複雑かというと、
・薬害の定義、および対象者の定義
ということになります。
今回の裁判および政府による法律も、実は、
・後天性疾患について「フィブリノゲン」と「第9因子製剤」に起因するC型肝炎のみが、薬害と定義され
・薬害による肝炎感染を証明できるヒト(が、救済対象者とする
ということになっています。
となると、実は、
・先天性疾患で該当製剤が投与された人、例えば血友病の患者さんは、C型肝炎になっても対象外
・カルテがなく、投与が証明できない場合も対象外
ということで、テレビはこの2番目の問題を指摘していたものでした。
話を広げてしまうと、薬害自体の定義、つまり副作用とどう違うのかという、本質的な問題もあって、少々かじった程度では、混乱してしまうくらい複雑です。
いずれにせよ、テレビを通して認識した内容は、非常に小さく、単純なものに過ぎないということです。
テレビを通した認識の危うさを痛感しました。 しかし、テレビという何千万のヒトが視聴するメディアのパワーも痛感します。 これだけテレビが取り上げなければ、市民は薬害C型肝炎をほとんど認知せず、政府の落ち度を非難しなかったでしょう。 つまり、テレビで巻き起こった民意がなければ、おそらく政府による救済立法はなく、ずるずると裁判で争っていたような気がします。
社会問題を解決するには、テレビというメディアを通して「民意を盛り上げる」、つまり問題を認知し、おおまかに内容を理解するということが必須です。 たくさんの人が問題を認識せずに、問題は解決できません。
しかし、テレビというメディアを通した認識は、結構「浅い理解」だったり、時に「偏った理解」だったりします。 それが、「テレビ政治」の問題だと言われています。
今回の薬害肝炎について、たまたま調べてみたら、自分自身もこのテレビの弊害に陥っていたことを痛感しました。
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