地方を奴隷にする仕組み
【土居丈朗 地方を奴隷にする仕組み】 日経ヴェリタス 2009.6.14
地方財政の若手第一人者、土居先生(なんと38歳!)の、橋下知事応援論文です。 (本人には、そんな意図がないかもしれませんが)
地方は、構造的に国の奴隷になるように仕組まれていると、指摘しています。
土居先生は、上品に「貧困の罠」という学術用語を使っていますが、要は、「地方は必然的に奴隷になる」制度があるということを指摘しています。
その仕組みの根幹は、「地方交付税」。 自治体の運営に最低限必要な金額と、自治体が自主的に集められる税金の差額を、国が負担する仕組みです。
「最低限の自治体運営費用は、国が何とかします」という、地域の経済格差を埋め合わせる、税の分配制度です。
一見良い制度ですが、実は、そこに「地方を奴隷化する」仕組みが組み込まれていると言います。
つまり、税収を増やすために一生懸命活動しても、税収が増えた分、地方交付税がカットされ、結局総額はほとんど変わらないという仕組みなので、わざわざ税収を増やすというインセンティブが働かないと指摘します。
(ちなみに、地方交付税なしの自治体は、ほんのわずかしかありません。 東京都、豊田市、武蔵野市など。
こういった自治体は、税収が増えれば、総額も増えます)
逆に、町が衰退し、税収がどんどん落ちても、交付税が増額されるので、これまた総額はあまり変わらないという事実。
交付税のお陰で、事態が深刻化しないので、衰退の流れを止めようという動きが本格化しないという悪循環。
まとめると、
・地方交付税は、最後は、国がなんとかするという、後ろ支え
・したがって、気概のある市長でないと、「最後は何とかなるさ」と、国への依存体質に陥る
・依存体質とは、つまり、気持の底から、「国に従う」という、奴隷マインドということ
・自治体運営の「やる気」を削ぐし、「危機感」も生まれない
・自ら何かをやるということを発想しない思考停止を作り、困ったら頼るという依存体質を生むのが、まさに地方交付税の仕組み → 地方を、気持ちの部分から奴隷にする仕組み
ということでしょうか。
この地方交付税の仕組みを変えようと、地方分権改革推進委員会(委員長 丹羽宇一郎)が、秋をメドに改革案を作成中とのこと。 どうなるか?
日本全体はこれ以上借金もできないし、経済成長もないので、総額は絶対に増えない。
地方分権といっても、国税が地方税に振りかわるだけで総額は増えない。
となると、パイの取り合いになるので、地方交付税の改革は、自治体間のパイの取り合いという、壮烈な自治体戦争になります。
財源の8割以上を交付税に頼っている地方の自治体は、もう死活問題です。
橋下知事や、東国原知事のおかげで、地方自治がスポットライトを浴び始めましたが、議論を進めると、壮絶な議論になると思います。
自治体運営には、もちろんカネが必要です。 しかし、カネはあまりない。
となると、ソフト、つまり、効率的な運営方法で勝負するしかありません。
それから、今まで使っていた予算をスクラップして、違う部分に振り向けるというやり方を、過激にやるしかありません。
これからの市長(知事)は、
・運営方法というソフトで勝負する組織運営ができるか
・今までの延長線でなく、ゼロベースで予算を組み替えることができるか
という、新しい能力が必要です。 本当に。
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