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2009年7月の5件の記事

政治家に対する不信感が小さくなることが最初

【権丈善一 結局、消費税上げるしかないんだよ】 読売新聞 2009.7.29

Photo 社会保障をアカデミックに語らせたら、日本一の権丈先生です。 
権丈先生の、衆院選の争点、特に社会保障における争点の主張です。

社会保障はふたつの話がセットです。
ひとつは、社会保障費を増やすか、減らすか。 もうひとつは、増やす場合は、どう財源を確保するのか。

小泉内閣までは、社会保障は実質減らすという方向でしたが、この不景気で、一気に舵を180度切って、自民も民主も、社会保障は増やすということになっています。
となると、財源。

この財源について、政治的にはしんどいと思うが、それを提示しなければ、絵空事に過ぎないと先生は言います。 
民主党の行政のムダカットの議論を受け入れたとしても、社会保障を拡大する(基礎年金の国庫負担の2分の1への引き上げ、介護・医療の拡充)とするならば、全然足りない。

だとすると、自民党はもちろん、民主党ももっと財源に対して、しっかり説明する必要があり、それは増税しか選択がないことは明らかであると言います。 結局、どのような増税を行うのかというのが肝で、消費税はもちろん、資産課税と所得課税のバランスをどうするかなど、まさに税制改革の議論こそが、争点にあんるべきだと主張します。

日本は、世界的には「低負担・低福祉」。 この現状の福祉の水準を上げるならば、負担をどう上げるのかという議論もしなくてはならないのに、それを完全に放棄している自民、民主は、全く無責任と嘆いて、インタビューが終了しています。

権丈先生の気持ちはよくわかります。 論理的に成り立つはずがないのに、それが成り立つように振る舞う政治家に怒り心頭という感じでしょうか。 (政治家が論理的にわかっていないのか、確信犯なのか、そもそも微妙ですが)

でも、政治のそこが難しいところです。

市民は、確かに増税は嫌だけれど、その分生活の不安がなくなるならば、それはそれでありと思っているはずです。
ただし、一方で、
・増税しても、生活は変わらないのでは?
という不安も根強くあります。

その背景は、政治家と役人に対する、恐ろしいほどの不信です。
政治家は「首相のコロコロ辞任&自民の中のゴタゴタ」、役人は年金問題・天下り問題で、いよいよトリガーがひかれて、不信感が爆発しています。

政治家と役人が信用できるならば、増税も許して、将来の福祉を期待もしよう、ところが、政治家と役人が信用できないので、増税は気分的に乗り気でないというのが、市民の本音です。

政治家は、増税というと、市民は単純に嫌がるだろうと思い、市民は、そもそもあんた、政治家を信用できないから、増税が嫌なんだと思う、このネジレの現状が今の政治状況です。

何をやると政治家は信用されるのか?

たぶん、政治家の人数自体の大幅削減と、役人の給与大幅カットだと思います。
民主党は80人の削減をいっていますが、スーパーの値段と同じで、わかりやすく100と言うべきでしょう。しかし、民主党は役人の給与カットは言えないだろうなぁ。

しばらくは政治家不信は継続して、ゆえに、市民に微妙に媚びるような政治が続いて、現実に正直に向き合うこと、つまり増税はないのでしょうね。 ただし、国債の買い手が、まもなくいなくなるでしょうから、その時がタイムリミットかもしれませんが、まだ数年大丈夫ですね。

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立派な活動をしても、最後は見た目、印象勝負なのか

世田谷の都議会議員であった、行革110番の後藤雄一さんが、まさかの落選です。

東京都、東京都の関連団体、都議会の様々な「合法的税金ぼったくり」の事例を暴いて、都にも、議会にも煙たがれていた後藤さんが、まさかの最下位です。 (定員8人に11人立候補、結果は民主3、公明2、生活者ネット1、共産1、自民1で、後藤さんと、自民2人が落選)

詳しくはホームページを見て頂くとして、彼の功績は、
・選挙カーのガソリン代、水増し請求追求
・東京都職員の第2給与振込口座のムダ追求など、
・様々な手当、慣習(お役所仕事)をあぶりだし、廃止させたり、改善させたり
・都の業務上のミスや、その隠蔽に対して、徹底的追求
などなど、都としては一番嫌な議員だったと思います。 都議会127人全員がこれくらいの仕事をすると、都は相当引き締まります、笑。

Photo 彼は、とにかくネチネチと調べ上げ、論理的に追及していきます。 いわゆる、オンブズマン的な活動ですが、かつては現職議員であったため、その権限をもとに、激しい追及活動が大変有名でした。 都における、公私混同の予算消化(会議、福利厚生という名の私的利用、大判振る舞いのタクシー券、カラ出張、カラ弁当などの裏金作り)、議会の視察という名の観光旅行など、徹底的に追及しまくり、著書の「ザ・お役人天国」「お役人のいじめ方」は、古典的名著と言われています。
彼のこの20年近い活動(都議としては8年)をきっかけとして、全国にオンブズマン活動が広がったといっても過言ではないでしょう。 

その後藤雄一さんが、まさかの落選です。

彼は、しゃべりがあまり上手ではありません。 そして、今や60近くのオジサンで、見た目はかなりみすぼらしい。(見た目を気にしないのが、彼の良さですが) 優しいのですが、活動に対しては厳しいです。 だから、利権活動の自民党は当然険悪の中ですし、民主党でさえも、そのストイックすぎる姿勢と相性が合わず、どちらかというと、孤高の議員さんでした。 愛想が良いとか、リーダーシップがあるというわけでもなく、地道に(ある意味、オタクっぽく)問題を追及するという実直さです。

見た目勝負の選挙、2大政党型の選挙に、後藤さんは完全に飲み込まれてしまった印象です。
彼の功績は群を抜いているのですが、有権者の前にはなかなか伝わらなかったということでしょう。 (ほとんどの有権者は、印象で投票判断をするということです)

行政の無駄使い追求という活動は、ちょっと小振り過ぎて、有権者になかなか認めてもらえないというのは辛いところです。 でも、とても大事な活動です。 こういうジャブが、大企業病の都には効くのです。 (今回、世田谷でトップ当選した、新人の)民主党の関口さん(33歳!)には、是非、こういう活動を引き継いでもらいたいものです

これからの政治家は、選挙時のプレゼンテーション、そして当選後の本質的な議員活動という、二つの種類の違う戦いを行わなければなりません。 後藤さんは、前者の「選挙時プレゼンテーション」を完全に軽視していました。
逆に、民主党は「選挙時のプレゼンテーション」を相当意識した結果が、風もありましたが、大きな勝利につながっていると思います。 当選後の本質的な議員活動を忘れないでください。 第一党ですから、「結果」がすべてです。 この4年間で何をするのでしょうか?

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市長の仕事は、新しい公共サービス事業のマネジメント?

【勝間和代のクロストーク 終身雇用なきあとの社会設計】 毎日jp 2009年6月28日

Photo 勝間和代さんと、福祉政策が専攻の宮本太郎さんの対談に、良い視点が盛りだくさんありました。(宮本太郎さんは、なんと宮本顕示のお子さんとは、、、)

良い視点を得られたコメント&気付きをまとめると、

・スウェーデンは、雇用流動性が高く、生産性の低い部門から高い部門への移動が行われてきたが、一方で、公共部門で雇用を作り、全体として雇用率を上げてきた
・ただ、生産性の高い産業が、それほど雇用を必要としなくなってきたので、結果的に、雇用の3分の1は公務員という状態
・最近は、公共部門の雇用も限界にきており、(失業率が上がり)失業手当で暮らす人が増え、スウェーデン国内でも、不協和音が広がり始めた

・日本は、公共部門の雇用を拡大していないので、民間で吸収できないと、失業率が上がってしまう
・低成長下で、民間の競争が激しくなり、ハードワークの正規社員と、時間限定だけれど給与が上がらない非正規という、極端な二つの仕事モデルしかなくなってきた

・仕事を通して、というか、仕事だけに「生き甲斐=幸せ」を追う人生観ではなく、別の人生観が生まれないと、低生産性の仕事に誰もつかなくなる
「別の人生観=仕事以外の、幸せの源泉」は、地縁か、趣味縁のコミュニティにおける活動か?

・多少非効率、給与が低めな仕事でも、地域の仕事を公共(行政)が生みだし、その仕事を通して地縁が強くなり、結果的に相互扶助の関係が出来上がることが、社会にとって良いことでは?

・ただ、今まで会社一筋でやってきて、仕事が生き甲斐という人生観を持っている人に、地縁という繋がりを通して生き甲斐を見出しましょうと言っても、少し難しいかも
会社組織のコミュニケーション(階層組織)と、地縁のコミュニケーション(対等に役割分担)は微妙に違うので、会社組織のコミュニケーションを地縁に持ち込まれると、コミュニティがギクシャクする

・行政の仕事は、民間が提供しにくくて、かつ公益になるような仕事を作り出して、そして、その仕事を、役人組織の弊害(責任感の低さ、画一的など)をできる限り小さくしながらマネジメントすることになる
・具体的な仕事は、介護、教育、子育て、防犯、清掃などで、そのためには、現状よりは政府規模は大きくならざるを得ない

今までの普通の人生設計は、子供が大きくなるにつれ、教育費と住宅ローンで支出が大きくなり、40代50代で給与が上がり、その支出に対応するというものでした。
しかし、40代以降、給与が伸びないというならば、そして、そもそも雇用自体も危うい時代ということであれば、二つの面で、社会の構造改革が必要です。

ひとつは、伸びない収入に対応して、大きな支出も何とかしなければならないということになります。
住宅ローンはまた別途取り上げるとして、教育については、もっと社会が支えても良い内容なのかもしれません
(高校の授業料実質無料化、大学の奨学金制度の拡充など)

もうひとつは、それが、この勝間宮本対談で言われている、雇用自体を行政が作り出すということです。今までは、公共事業で間接的に土木事業の雇用を作ってきましたが、土木事業ではもはや多くの幸せにつながらないので、介護や教育という新しい部門で、雇用を作る必要があるということです。
市長の新しい仕事は、新しい雇用のマネジメントなのかもしれません。

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終身雇用&年功序列は成立しないならば、何をすべきか?

【復活か 崩壊か “終身雇用”を問う】 NHK 2009年6月28日

終身雇用に関して、勝間和代, 湯浅誠,  森永卓郎が、緩く討論をします。

各氏の基本的な考え方です。
Bs (勝間) 終身雇用を維持することは不可能。 終身雇用を維持しようとして、正規社員のハードワーク、非正規の増大など様々な弊害が生まれている。
一方で正規社員にとって、終身雇用が既得権になっていて、これにしがみつく意識が、ますます終身雇用の弊害を拡大する

(湯浅) 終身雇用はもはやひとつの会社で提供するのは難しい
ただし、無期雇用を原則にしつつ、会社を渡り歩いて雇用が継続できるよう、社会(政府)が前提を整えるべき。
住宅、教育にお金がかかりすぎる現状を何とかしないと、終身雇用の既得権者は猛烈に反発するし、多くの人がやっていけなくなる

(森永) 終身雇用は、会社が強くなる源泉であるし、会社は雇用を守ることが社会的使命。 終身雇用は続けるべき
ただし、年功序列という給与体系でなく、稼いだ分に応じるような給与体系にして、終身雇用による人件費増大を防ぐべき

勝間さんは、「アメリカのように解雇を簡単にして、雇用の流動性をあげるべき。 古い産業から新しい産業へ人が動くということが、社会に必要。
政府は、その移動を、トレーニングや失業手当でバックアップすべき
」と主張します。
Bs_2 一方で、森永さんは、「解雇を簡単にすると、乱暴な経営者が安易に解雇してしまうリスクが非常に高く、解雇を簡単にする前に解雇されても大丈夫という安心感を得られる、政府の制度を作るべき」と、順番が大事と指摘します。

討論は、微妙に対立しているようでしたが、3人の主張は視点が違うものの、根っこは同じような気もしました。 その根っこですが、

・そもそも終身雇用とは、長期雇用、年功序列給与(給与右肩上がり+退職金)、新卒採用の3点セット
・しかし、企業の収益力が(中小企業を中心に)弱体化、一方で(大企業を中心に)利益の極大化が求められ、年功序列給与が財務的に耐えられなくなってきた
・そこで企業は、年功序列給与にあてはまらない、非正規雇用者を増加させて対応
・結果的に、終身雇用の周辺に、膨大な非正規雇用者を生み、年功序列の終身雇用者vs給与が上がらない非正規雇用者の対立関係ができあがった
・終身雇用制度を守り続けると、このような状況が続くので、今までの終身雇用制度は続かない

Bs_3 ・そこで、(勝間)解雇を簡単にして、雇用を流動化せよ→正規vs非正規の対立がなくなる、(湯浅)転職が増えるので、失業時の体制を、社会(政府)で手厚く構築せよ、(森永)年功序列給与自体を辞めてしまえ、そうすれば雇用は続けられる
という提案が出てくるわけです。

それぞれ、その通りだと思います。
中小企業では、現実に対応せざるを得ず、年功序列給与は崩壊しています。 多くの社員で40過ぎで給与が止まっています。
森永さんの内容が、現実的に起こっているわけです。
(だから、大学生や住宅ローンを抱えた40代後半から50代前半の、中小企業勤務サラリーマンは本当に大変です)

終身雇用は、単独で存在する制度でなく、様々な制度と絡み合っているので、他の制度も変えなくては、軟着陸できません。

同じ仕事ならば、同じ給与という原則とし、正規と非正規の格差をなくす (→非正規の給与があがり、正規の給与が下がります)
・結果的に、40代50代の給与が落ち込んでくるので、教育コストを下げるべく、高校や大学の費用を社会で大きく負担する方向にする
(必然的に、所得に関係なく、多くの子供が学びの機会を得る)
・失業時の支援体制を厚くする (ジョブトレーニングと失業手当)
・最後に、解雇をもっとやりやすくする (法的に、解雇の合理的な理由を明確にしてあげる)、結果的に流動性が上がる(=企業経営がしやすくなる)

ということになるのだと思います。
この考え方は、社会全体には良いインパクトがあると思いますが、終身雇用の既得権者には、マイナスのインパクトです。
しかし、大企業も、(収益性の弱いところを中心に)既に年功序列給与がどんどん崩壊しています。

ちなみに、終身雇用&年功序列がばっちり残っているのは、実は400万人の公務員の世界と、補助金で成立している特殊法人(天下り団体)です。
(この400万人には、民営化された郵政30万人も含みます)
400万人の給与は、福利厚生を含めて、推定で約36兆円から40兆円。 2割カットで7兆円から8兆円の財源です、笑。

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当たり前をどれだけ徹底するか、これが進化の源泉

【ユニクロ柳井社長 三連発】 日経ビジネス090601、週刊ダイヤモンド090418、東洋経済081011

3_2 主要経済誌の柳井社長インタビューです。
日経で、柳井社長が成功の要因を説明しています。

「顧客のニーズをとらえて商品化し、生産して、販売するというサイクルがうまくいっている」
このサイクルに対して、ユニクロは圧倒的に真剣に、徹底してやっている」

具体的な話が述べられています。
・売れた商品、売れない商品を分析し、翌週どう売るか、そのために何を準備するか、そのシーズンの販促計画に軌道修正は必要か、次の商品はどう開発するかという仮説を出して、打ち手を実行していく
・同じ商品でも、売れた店舗、売れない店舗があることを分析して、翌週どう売るか、店舗に情報を流す

何がどれだけ売れたのかは、顧客の評価です。 顧客の顕在化したニーズの裏返しです。
まずは、この情報を徹底的に分析し、翌週の販売、今シーズンの生産販売計画の打ち手に直結させていくという、スピーディーな対応だけで、十分に価値があるということだと思います。
確かに、月次、下手をすればシーズン単位の分析はあっても、週次の分析、そしてそれを翌週にすぐに活用するというスピードは、ユニクロだけかもしれません。
GMSではありえませんし、おそらくワールドやオンワードでもないでしょう。 これがユニクロの強さなのかもしれません。

結局、当たり前のことをどこまで徹底するかという、水準の問題。 水準をどんどん上げていくことが経営者の仕事であり、会社の強さにつながる」

そして、ダイヤモンドでは、新しい小売業について述べています。

「わがままで移ろい易い顧客ニーズに対応して品揃えを広げて、単に陳列しているだけの小売業はダメ。本当の顧客ニーズに対応して、(メーカーやパートナーと一緒に)商品を作り出すことが、新しい小売業」
「品物を並べて売れる時代は終わり。 売れるように工夫をしないと売れない」

「ユニクロは、店長や販売員が感じ取った顧客のニーズを、徹底的に吸い上げて製造、販売に役立たせている。 これが顧客ニーズに対応して、需要を創造すること」

商品の開発をメーカーに任せて、単に並べるだけの小売業に差別化要因はなく、顧客のニーズから、売れる商品を小売業が自ら開発して、売れるように販売の工夫をすることが新しい小売業(SPAと呼ばれます)であり、ユニクロの強さということです。

最後は、東洋経済。 そんなユニクロにおけるトップの役割について語ります。

「トップは明確な方針を示すべき」
「社員は、方針を理解して、自分の持ち場・仕事に落とし込んで具体的に実践すべし」
「まずは、トップの方針ありき。 単に、社員に(売上、利益を目指して)頑張れ!は、最悪」

そして、組織が大きくなるにつれ、自主的に動く社員よりも、組織に寄生する社員が増えてくると嘆きます
自分が仕事をしなくても、とりあえず会社は回ると無意識に思ってしまい、それがスピードの遅さ、判断の中途半端さにつながってしまうと分析していて、自営業者のように、「自分が今日動かなければ、売上も利益も計上されない」という現実感を持つべきと、まとめています。

「当たり前のことを徹底する」
「徹底する水準を、どんどん上げていく」

新しさは全くないのですが、結局、何でもこういうことなのかもしれません。
行政サービスも同じです。 「そのサービスの対象者の満足を上げるための努力を(予算内で)徹底する」ということが繰り返されないといけないのでしょう
市長に大事なことは、根気、執拗さということでしょうか、笑。

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