終身雇用&年功序列は成立しないならば、何をすべきか?
【復活か 崩壊か “終身雇用”を問う】 NHK 2009年6月28日
終身雇用に関して、勝間和代, 湯浅誠, 森永卓郎が、緩く討論をします。
各氏の基本的な考え方です。
(勝間) 終身雇用を維持することは不可能。 終身雇用を維持しようとして、正規社員のハードワーク、非正規の増大など様々な弊害が生まれている。
一方で正規社員にとって、終身雇用が既得権になっていて、これにしがみつく意識が、ますます終身雇用の弊害を拡大する
(湯浅) 終身雇用はもはやひとつの会社で提供するのは難しい。
ただし、無期雇用を原則にしつつ、会社を渡り歩いて雇用が継続できるよう、社会(政府)が前提を整えるべき。
住宅、教育にお金がかかりすぎる現状を何とかしないと、終身雇用の既得権者は猛烈に反発するし、多くの人がやっていけなくなる
(森永) 終身雇用は、会社が強くなる源泉であるし、会社は雇用を守ることが社会的使命。 終身雇用は続けるべき。
ただし、年功序列という給与体系でなく、稼いだ分に応じるような給与体系にして、終身雇用による人件費増大を防ぐべき
勝間さんは、「アメリカのように解雇を簡単にして、雇用の流動性をあげるべき。 古い産業から新しい産業へ人が動くということが、社会に必要。
政府は、その移動を、トレーニングや失業手当でバックアップすべき」と主張します。
一方で、森永さんは、「解雇を簡単にすると、乱暴な経営者が安易に解雇してしまうリスクが非常に高く、解雇を簡単にする前に解雇されても大丈夫という安心感を得られる、政府の制度を作るべき」と、順番が大事と指摘します。
討論は、微妙に対立しているようでしたが、3人の主張は視点が違うものの、根っこは同じような気もしました。 その根っこですが、
・そもそも終身雇用とは、長期雇用、年功序列給与(給与右肩上がり+退職金)、新卒採用の3点セット
・しかし、企業の収益力が(中小企業を中心に)弱体化、一方で(大企業を中心に)利益の極大化が求められ、年功序列給与が財務的に耐えられなくなってきた
・そこで企業は、年功序列給与にあてはまらない、非正規雇用者を増加させて対応
・結果的に、終身雇用の周辺に、膨大な非正規雇用者を生み、年功序列の終身雇用者vs給与が上がらない非正規雇用者の対立関係ができあがった
・終身雇用制度を守り続けると、このような状況が続くので、今までの終身雇用制度は続かない
・そこで、(勝間)解雇を簡単にして、雇用を流動化せよ→正規vs非正規の対立がなくなる、(湯浅)転職が増えるので、失業時の体制を、社会(政府)で手厚く構築せよ、(森永)年功序列給与自体を辞めてしまえ、そうすれば雇用は続けられる
という提案が出てくるわけです。
それぞれ、その通りだと思います。
中小企業では、現実に対応せざるを得ず、年功序列給与は崩壊しています。 多くの社員で40過ぎで給与が止まっています。
森永さんの内容が、現実的に起こっているわけです。
(だから、大学生や住宅ローンを抱えた40代後半から50代前半の、中小企業勤務サラリーマンは本当に大変です)
終身雇用は、単独で存在する制度でなく、様々な制度と絡み合っているので、他の制度も変えなくては、軟着陸できません。
・同じ仕事ならば、同じ給与という原則とし、正規と非正規の格差をなくす (→非正規の給与があがり、正規の給与が下がります)
・結果的に、40代50代の給与が落ち込んでくるので、教育コストを下げるべく、高校や大学の費用を社会で大きく負担する方向にする
(必然的に、所得に関係なく、多くの子供が学びの機会を得る)
・失業時の支援体制を厚くする (ジョブトレーニングと失業手当)
・最後に、解雇をもっとやりやすくする (法的に、解雇の合理的な理由を明確にしてあげる)、結果的に流動性が上がる(=企業経営がしやすくなる)
ということになるのだと思います。
この考え方は、社会全体には良いインパクトがあると思いますが、終身雇用の既得権者には、マイナスのインパクトです。
しかし、大企業も、(収益性の弱いところを中心に)既に年功序列給与がどんどん崩壊しています。
ちなみに、終身雇用&年功序列がばっちり残っているのは、実は400万人の公務員の世界と、補助金で成立している特殊法人(天下り団体)です。
(この400万人には、民営化された郵政30万人も含みます)
400万人の給与は、福利厚生を含めて、推定で約36兆円から40兆円。 2割カットで7兆円から8兆円の財源です、笑。
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